レベル99のファン達。

攻機ワールド

自分が攻殻機動隊を初めて知ったのは、大学に入って間もない頃でした。自分が大学に入った頃は、すでにアニメシリーズが放送された後です。友達からおすすめされて、アニメの1期(stand alone complex)と2期(S.A.C 2nd GiG)を、大学生の有り余る時間を使って、ほぼぶっ通しで観ました。元々SF好きだったので、スムーズにハマり、原作の漫画と、2本の映画(ghost in the shellとイノセンス)も観ました。ちなみに、最初に観た衝撃からか、アニメの1期が自分は一番好きです。

そんな、幅広くメディアミックスされている”攻機”ワールドですが、作家さん達の間にもファンが多いようで、5人の作家達が作品を書き下ろしてまとめたのが、このアンソロジーです。メンツを見ると、やはりというかSF・ファンタジーの作家さんが多いですね。

ファンというものは、その作品が好きなことを、コンテンツを買ったり、イベントに参加したりして表現するものです。更に進むと、同人作品を作り、その作品の世界を自ら広げて表現しようとします。この本の様に、プロフェッショナルな腕を持つ人達が同じような動機で作品を作って、商業作品として世に出すというのは、ファンとしては究極の形なのかも知れません。

Shadow.net

円城塔さんの作品。時系列的には、ghost in the shellの後の話でしょうか。バトー、トグサ、荒巻が出てきます。アンソロジーの最初として、攻殻機動隊の世界観をおさらいする感じの話だと思いました。また、円城塔さんの作品っぽく、テクノロジーの無機質な感じが出ていると思いました。会話多めでした。

金目銀目

三雲岳斗さんの作品。少佐に憧れた女警察官が、少佐と同じ義体を手に入れ、少佐に会うために犯罪を行う話。事件の発端となる出来事、バトーとトグサの調査、犯人との対峙と戦闘、という流れは、アニメの1話分を観ている感覚になりました。会話とアクション半々でした。

攻殻機動隊

朝霧カフカさんの作品。あるリゾート島でテロリストと戦闘をする話。この話で出てくるリゾート島のシステムは、ARの完成形なのかなと思いました。”笑い男”ことアオイ青年と、久世が登場します。アニメの1期と2期の重要キャラの共演という感じですね。

アニメシリーズの中でも、アオイ青年は好きなキャラです。小説からの引用や、凄腕ハッカーぶりをまた見せてくれるのは、ファン目線の作品ならではという感じです。アクション多めでした。

自問自答

秋田禎信さんの作品。少佐の精神世界(?)の話。公園のシーンは、アニメの1期のOPの映像を思い出しながら、読んでいました。ほぼほぼテクノロジーに支配されている様に見える、攻殻機動隊の世界の中で、人間の精神やゴーストと呼ばれている概念は、この世界の中心テーマの一つだと思います。会話多めでした。

スプリンガー

冲方丁さんの作品。義体を巡る事件の話。ある警察官のインタビューにより綴られる作品で、他の収録作品と違う形式で、面白かったです。インタビュアーは、公安9課の誰かという設定。全て会話といえば会話ですが、内容的には会話とアクション半々でした。

冲方丁さんの作品は、この話で初めて読んだのですが、結構気に入ったので、他の作品も読みたくなりました。普段は手に取らない、新しい作家さんの作品に触れられるのも、アンソロジーのいいところだと思います。

電脳空間の描写

可視化された電脳空間のイメージは、攻殻機動隊を見た人なら、青い空間のイメージが植え付けられているのではないでしょうか。そして、そのイメージを植え付けられた世代が、電脳空間が出てくる作品を作って行き、より広まっていくのではないかと思います。

電脳空間は、人間の身体から離れた空間なので、思考や精神の影響が強い空間だと捉えることができると思います。テクノロジーの粋なのに、精神が影響するというのは、不思議な感じがします。

電脳空間を扱った作品というのは、これまでに沢山出てきたと思います。しかし思うに、人間のユートピア的な空間として描写される例は、少ないのではないかと思いました。ということは、人間の幸福というのは、身体的なものとしてイメージされるので、身体とは切り離せないものなのかなと、ふと思いました。我ながら、かなり飛躍が過ぎると思いますが。

関連書籍

こういう系のサイバーパンク作品といえば、「ブレードランナー」や「ニューロマンサー」が有名です。「ブレードランナー」の原作、「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」の感想はこちら。「ニューロマンサー」は読んだのですが、いまいち感想をまとめられずに、まだ書いていません。


memom

都内在住会社員。 物心ついた時から読書好き。 読んだ本を忘れない様につらつらと感想を書いていきます。

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