熱血発掘おじさん。

シュリーマンのイメージ

この本を読む前は、シュリーマンという人物について、繊細なイメージを持っていました。知識としては、「トロイの遺跡を発掘した人」、ということしか知りませんでした。というか、トロイの遺跡についても、「ギリシャらへんの遺跡」という程度しか知りませんでした。なんとなく、考古学に興味があるということは、ロマンチストで繊細な人なのかな、と思っていました。

この本を読んだあとは、ロマンチストなイメージはそのままでしたが、繊細なイメージはむしろ、熱くて強かなイメージに変わりました。

語学と商才

この本、自伝と言いながら、実は最初の半分弱くらいしか、シュリーマン自身による文章がありません。残りは、第三者が書いた文章となっています。自分が印象に残ったのは、シュリーマン自身による文章の方でした。そのあたりは、まだ実際の発掘の話にはあまり入っておらず、発掘の前の少年時代や商人時代について書かれています。

まず、熱心に語学勉強したことについて書かれているところが、印象に残りました。一体、何リンガルなんだというくらい、幾つも他国語をマスターしたと書いてあります。本に出てくるだけで、英語、フランス語、オランダ語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、スウェーデン語、ポーランド語、現代ギリシア語、古代ギリシア語、ラテン語、アラビア語を勉強したそうです。あんまり多いので、一つ二つくらい、見逃してるかもしれません。

シュリーマン式語学勉強法について、こう書いています。

非常に多く音読すること、決して翻訳しないこと、毎日一時間をあてること、つねに興味のある対象について作文を書くこと、これを教師の指導によって訂正すること、前日直されたものを暗記して、次の時間に暗誦することである。

以前、英語学習方法についてのセミナーを受けた事があります。その中でも、音読することは大事だと言っていました。曰く、「音の無い語学の勉強は意味が無い」そうです。シュリーマンも、実際に効果を実感できた方法を、書いたのだと思います。

自伝の中では、ビジネスで成功したことも書かれていました。今まで、遺跡を発掘した人のイメージしか無かったので、商才があったとは意外でした。ビジネスで富を築いたからこそ、その後お金をかけて、発掘調査が出来たそうです。

もしかしたら、遺跡を発掘した人としてよりも、ビジネスマンとしての方が、シュリーマンのパーソナリティーを表しているのかもしれない、と思いました。

発掘

残りの半分強が、遺跡発掘について書かれています。結構強行したところもあったり、シュリーマン自身が泥臭く働いたところもあったとのこと。

やはり、商人としての経験によって、プロジェクトを進める経験を積み、胆力が養われて、それが遺跡発掘に活かされたのではないか、と思いました。

実は作り話?

ここまではこの本を読んで、自分の中で出来上がったシュリーマン像です。しかし、この自伝の内容が、事実に基づいたものではないという指摘もあるようです。

本のタイトルでググると、すぐに出てきますが、それらの指摘については、下記のページなどが分かりやすいです。

真実は何なのか、誰にも分からないので、「古代への情熱」の内容をどう信じてどう受け止めるかは、読者次第だと思います。自分は、上に書いたような感想を持ったのが、自分にとっての事実です。その事実を持って、他の本を読んだときに、別の視点から見た場合の感想が出てくると思うので、それを積み上げていこうと思います。

一つ言えるのは、あくまである本を読んで得られるのは、「それを読んで自分が何を思ったか」ということだけだと思います。注意したいのが、あたかも本に書いてある体験や考え方を、自分自身の体験や考え方であるかのように、錯覚しないようにすることです。

まあ、かっこいいことを書いておいて、自分も上記のリンクの記事を読む前は、単純に「シュリーマンすげえ!」って思って、全部疑いようもなく事実だと思ってたんですけどね。もし誰かにシュリーマンについて聞かれたら、さも自分で見てきたかの様に、自伝のエピソードを話していたことでしょう。もしその後で、実際はそうじゃなかったかもしれないと指摘されたとしても、恥ずかしいと思わずに、「いろんな見方があるよねー」と、笑い飛ばすだけだと思います。そのあとで、そうするべきだと思ったら都度考え方を変えるだけだと思います。

関連書籍

上記のリンクでも紹介されている、シュリーマンに対して懐疑的な見方をした本を紹介しておきます。自分はまだ読んでいないので、本屋で見かけたら、手にとってみようかなと思います。

シュリーマンは、江戸時代の日本にも来ているのだそう。そのことに関する本もあるので、これも面白そうです。

カテゴリー: 本の感想

memom

都内在住会社員。 物心ついた時から読書好き。 読んだ本を忘れない様につらつらと感想を書いていきます。

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