大きすぎる相手。
名作SF
ザ・名作なSFを読もうということで「ソラリス」を読んだ。読んでみて名作と言われるのも納得の小説だなあと思った。最後のあとがきまで面白かった。
人知を超えたものを描けているのがすごいと思った。作者は人間(=作者自身も含む)の理解を超えたものとしてソラリスを描写している。メタ的に見ると矛盾している様な状況だが、人知を超えた凄みが伝わってきて引き込まれる。
作品のリアリティ
最後までソラリスは解明できない謎の存在として終わるのが良い。人間側から見るとあざ笑われているかのようだが、ソラリスは多分人間の存在を歯牙にもかけていない。認識されているかどうかも怪しい。人間で言うと「歩いていたら何か当たった」位のもんなんだろうと思う。人間が調査に躍起になっているのが滑稽ですらある。変に意思疎通したりしないで、最初から何も進んでいないところが良かったと思う。もし本当に未知の存在に出くわしたとしたら、きっとこんなもんだよね。
ソラリス学やソラリス調査のくだりは、まるで本当にこういう学問があるみたいだった。こういう事考える時のSF作家の頭の中ってどうなっているんだろう。
なんとなく、圧倒的な存在とそれに挑む人間という構図は、「白鯨」と同じなんじゃないかと思った。「白鯨」の結末も結局人間が勝てずに終るし。
映画
「ソラリス」という作品のことを初めて知ったのは、結構前に新しい映画が出た時でした。確か映画はいくつか撮られているはず。あとがきを読むと作者はあまり気に入っていなさげですが、観てみようかな。原作を読んだ後なら、どこを変えているか比較ができるし。