一番遠くまで走れる動物。

道なき道を100キロ以上走るウルトラマラソンという競技がある。オリンピック競技になっている42.195キロを走るマラソンと比べて、ウルトラマラソンの勝者は栄光に彩られる訳ではなく、ハイリスクな割にローリターンだと思う。それでもこの競技に情熱を燃やして走るランナーが耐えないのは、この本の題にもなっている通り、人間が「走るために生まれた」からなのかも知れないと思った。

人間は他の動物よりも長時間走ることが出来るという。理由は幾つかあるが、一つは汗をかくことによって体温を下げることが出来るため、体温を下げながら走ることが出来るためだという。走るための構造をしていると聞くと、なんだか走らないと損な気がしてくる(著者の狙いに見事にハマった)。

遠くに行くことはなんだかそれだけでワクワクするものがある。人間は本能的にまだ見ぬ土地に行こうとする習性があるのかもしれない。人類の進歩は飽くなき好奇心によるもので、遠い土地への好奇心が人類を遠くまで走れる様に進化させたのではないか。

この本は、ウルトラマラソンランナーVS人類最強の”走る民族”タラウマラ族のレース開催の物語を中心に進行していく。近代アスリートVS野生ランナーという分かりやすい構図だが、アスリートの側がタラウマラ族をリスペクトしているのが良い。テクノロジーが進歩した現代だからこそ、失われてしまった野生の力に対する憧れは強いのだと思う。

本の中で、人間が走るのに裸足こそがベストだと考えている人が出てくる。確かに裸足を前提に進化したのが今の身体なわけで、そうかも知れないと思ってしまった。昔K-1にマーク・ハントという怪力と頑丈さでチャンピオンになった選手がいたが(今もUFCで活躍している)、故郷のサモアでコンビニみたいなお店に行くのに裸足で歩いている映像を見たことを思い出した。余計な物を着けない方が、潜在能力を発揮できるのかも知れない。

作中に出てくるウルトラランナーのスコット・ジュレクが書いた本もあるみたいなので読んでみたい。著者の他の本で、「NATURAL BORN HEROES」も野生の力をテーマに扱っているので読んでみたい。


memom

都内在住会社員。 物心ついた時から読書好き。 読んだ本を忘れない様につらつらと感想を書いていきます。

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