「生きている」ラインの引き方。

「ウイルスは生命体なのか?」という問題に解答を与えようとするのが、この本の目的。同時に、「生命とは何か?」という問にも対峙している。

世間一般の教科書では、ウイルスは「生物では無い」と教える。著者は、いやいやウイルスの活動を見ているとそんなことは無いよ、という立場を取ってこの本を書いている。

この本を読んでいると、否応にも「じゃあ生命って何?」と考えさせられることになる。私は、生命とは人間が作った単なる言葉なので、その解釈は科学が発展していくに連れて変わっていっていいものなんじゃないかと思った。

多分、100年前の生命観で考えたらウイルスは満場一致で生命では無いだろう。今日、科学の発展と共に色々な事が分かってきて、著者の様にウイルスを生物と考えていいんじゃないかと言う意見を持つ人も出てきた。その理由には説得力があるし、例えばそれに現代人が納得したら、現代の解釈としてウイルスは生物だと考えて良いと思う。ただ、それでこの問題が決着する訳ではなくて、更に科学が発展した時に別の解釈が出てきて、それを常識として塗り替えてしまってもいいと思う。

こう言ってしまうとこの問題は永遠に堂々巡りで、解答が出せないではないかという事になってしまうけど、こういう問題について考える事でウイルスについて新たな発見があるはずで、科学は確実に進歩していると言えるんじゃないかと思う。ウイルスにとっては人間が定義する生命なんてどうでもいいだろうが、人間にとってはウイルスが生命かどうかというテーマは興味を引くもので、科学の進歩に繋がるモチベーションみたいなものなので、結構大事なんじゃないかと思った。

同じく生命について考えている、同著者の「生命のからくり」も読んでみたい。


memom

都内在住会社員。 物心ついた時から読書好き。 読んだ本を忘れない様につらつらと感想を書いていきます。

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