時をかけるエンジニア。

ロバート・A・ハインラインの有名な長編なので読んでみた。ハインラインの本は短編集の「輪廻の蛇」を読んだことがあって、SFに特有の設定の複雑さがあまり無くて読みやすかったのが好印象だった。この作品も読みやすい部類の話だと思う。ただ、特許とかビジネスとかの設定は結構細かくて、SFの未来的・超技術的な雰囲気よりも現代社会の生々しい雰囲気の方が強いと思った。と言っても堅苦しい感じでは全然無くて、どこか楽天的な雰囲気を感じる。そう感じるのは、主人公が結構なスーパーマンだからだと思う。現代ではお手伝いロボットを開発する発明家、未来に行っても勉強して未来の技術を理解してしまう。困難に直面してもなんとかしてくれるだろうという感じがある。

いわゆるタイムトラベルものだけど、未来に行く手段と過去に戻る手段が違うのが面白いと思った。未来へはコールドスリープを使うという、時間の流れには逆らわない技術を使うのに対して、過去へは天才が発明した超技術で時間の流れを越えて戻る。この過去へ戻る方法だけ話の中で浮いているような気もする。最初は未来への一方通行だと思わせておくところが、過去に戻っての逆転の一手を引き立てる。

猫のピートは話の中核を担うほどは出て来なかったけど、マスコット的なキャラクターとしていい味出してると思った。鳴き声にバリエーションがあって、どれもかわいい。英語で読むとまた印象が違うんだろうか。

練りこまれた凄い名作、というほどでも無かったけど、子供の時に読んでいたらお気に入りの話になっていただろうなと思う。ただ、会社の仕組みのところは大人になった今だからこそ理解出来た事で、子供の時に読んでも分からなかっただろう。本は読む時期にどんな経験を経ているかによって得るものが変わってくるのが面白い。いつ巡り会うかによって読み方が変わり、いつ巡り会ってもその時その時で得るものがある。運命的な要素があって、全てを得ることは出来ないのもまた良いところだと思う。

 


memom

都内在住会社員。 物心ついた時から読書好き。 読んだ本を忘れない様につらつらと感想を書いていきます。

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