得体の知れない不気味な気配。

「解錠師」が面白かったので、同じ作者の作品という事で興味があって手に取った本。

主人公が私立探偵という冷静さを求められる役柄なのに、序盤・中盤は感情に任せた軽率な行動が目立つ。そんなところもあって正直、あまりかっこいい主人公だとは思わなかったけれど、等身大で親近感の湧くタイプだと思った。終盤、事件解決の時に急に頭が切れるキャラになっていたのには「おや?急に」と思ったけど、最後くらい見せ場がないと。それに、最後の最後で決めてくれたので読んでいて気持ちが良かった。

狂人に狙われているという状況からは、常識や理屈が通用しない得体の知れない敵を相手にする不気味さを感じた。その不気味さを隠れ蓑にして、実は裏では計画的犯行が動いていた・・・という王道ストーリーで、そのどんでん返しの効果が出ていて面白かった。寂れた田舎町、冷たい湖、人気の無い森などの環境も恐怖感を煽る。

キャラクターの中ではメイヴン署長が、憎まれ役としていい味出していた。私立探偵と警察側の意見が対立する、という構図はシャーロック・ホームズの時代からお馴染みだけど、メイヴン署長のいけ好かなさには読んでいて見事にイライラさせられた。

探偵自身が事件の当事者なのが面白いと思った。主人公は探偵業に乗り気では無いが、自分に関わる事件であれば解決に乗り出さない訳にはいかない。

このアレックス・マクナイト・シリーズは十作目まで出ているらしいが、和訳は三作目までしか出てない。しかも和訳されている巻も入手が難しそう。運良く手に取る機会があれば、続編も是非読んでみたい。


memom

都内在住会社員。 物心ついた時から読書好き。 読んだ本を忘れない様につらつらと感想を書いていきます。

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