エラーを大事に考えるようになる一冊。

この本はフランスの医学者が書いた本で、原著のタイトルは「エラー称賛」。

まず、「エラー」と「フォルト」は違うものだという事を書いている。

「エラー」と「フォルト」の語源は、両方ともラテン語だ。「フォルト」は、ラテン語の動詞の不定法「faillir」が語源であり、背くことを意味する。つまり、それは定められた決まり、要するに認知されている規則(道徳律、科学法則、規範、ゲームのルール、規約)に反することである。一方、「エラー」の語源は、「あちこちに行く、さまよう」ことを意味するラテン語の動詞の不定法「errare」である。

「フォルト」は「過失」だが、「エラー」はそうでは無いのだとという。

この本では医学の世界を説明するのに工学の世界を引き合いに出すことが多い。自分はどちらかと言うと工学の世界に身を置いているので、それらの部分は興味深く読んだ。

したがって、工学のマインドは発見の精神とは対照的なのだ。工学のマインドは、状況を完璧に制御しようとする。

確かに、人体など生命の振る舞いに比べれば、工学の世界は制御しきれる物なのかもしれない。しかし、工学の世界も年々複雑度合いが増し、制御の範囲外とも思えるような事が出てくる。そんな時には、この本に書いてある様な「エラーを肯定的に捉え、次に活かす心」を大事にしたいと思う。

エラーによってイノベーションが起こった例として、青カビチーズが誕生について紹介されている。

イノベーションによって登場する新製品や新たな手法は、生活に進歩をもたらす。羊飼いが熟成したチーズに青かびが生えているのを見た時の驚きを想像して欲しい。この羊飼いが、青かびだらけのチーズを捨てるのではなく、試食したからこそロックフォール・チーズが誕生したのである。

分かりやすくて面白い例だと思った。

この本を読んでいて、野球のイチロー選手のインタビューを思い出した。松井選手との対談で、凡打からヒントを得るという事を語っていた。

この考え方も、エラーを活かすというこの本の考え方に近いと思った。

エラーを肯定的に捉えるというのは、行うは難しだと思った。本書の中でも言われている事だが、人は犯人探しをどうしてもしたくなるし、罪の意識も拭えない。また、「エラー」と「フォルト」は違うものだと言っても境界線を引くことは難しい。それに、「エラー」には原因があるので直接犯した人が犯人では無くても、原因を追求した時に、結局その原因を作った人が犯人になってしまうのではないか。こういうところは携わる人全員の意識を変えていかなくてはならないことなので、まだまだ課題があると思った。

持論だが、エラー(またはフォルト)は大事なときほど起こるものだと思っている。その時に、できるだけ焦らずこの本に書いてあるようなマインドで事にあたる事が出来れば良いと思う。

カテゴリー: 本の感想

memom

都内在住会社員。 物心ついた時から読書好き。 読んだ本を忘れない様につらつらと感想を書いていきます。

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