日本人特有の感覚を空間図形的に分析する。

大手の書店で平積みになっていたのを見つけて、タイトルが気になったので買った本。何かの本で紹介されていたような気がしてタイトルが頭に残っていたのだけど、調べてみたら全然違う本だった(ビートたけしの「間抜けの構造」の中で紹介されていたような気がしていたけど、その本は「間の研究」というタイトルだった。多分間抜けの構造のタイトルの方が頭に残っていたんだと思う)。

1930年に書かれた本。解説によると、著者はパリに居てパリで書かれた本らしい。

この本はタイトルの「「いき」の構造」と「風流に関する一考察」と「情緒の系図」の三編が収録されている。いずれも日本人の感覚についての研究が書かれているが、著者の最大の特徴は、その感覚を空間図形を使って分析している所。空間図形の頂点に感覚の要素を割りつけて、「いき」や「風流」の持つ、一言では表すことの出来ない様々な様相を表している。これを読んでいて、なんとなく子供の頃テレビでやっていたボキャブラ天国という番組を思い出した。ネタを「知的」、「バカ」、「シブい」、「インパクト」の四つが書かれたマトリクスで評価するシステム。やってることはすごく近いような気がする(「インパク知」という言葉がすごく頭に残っている)

「いき」を表現した文章で印象に残ったものを引用する。

婀娜っぽい、かろらかな微笑みの裏に、真摯な熱い涙のほのかな痕跡を見詰めたときに、はじめて「いき」の真相を把握し得たのである。

表面に現れている表情だけではなく、その背景まで感じとった時に「いき」という感覚が生まれるということを表現している、とても好きな例だった。

日本人の民族性というものは、海外に開放的になるためのグローバル社会と引き換えに失われつつあるとは思うし、これから更に消えていくと思う。この社会では消えていく方が自然な流れだと思う。ただ、今のところは日本人としてこの本を読んでいて、感覚として分かるところがあるので、まだ意識的体験として残っているんだと思う。そしてそれを感じた時には日本人としての誇らしさも感じた。

実は青空文庫で読める様子。

カテゴリー: 本の感想

memom

都内在住会社員。 物心ついた時から読書好き。 読んだ本を忘れない様につらつらと感想を書いていきます。

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