現代にあふれる脳についての情報の捉え方について書かれた本。

山本貴光さんの本は以前「コンピュータのひみつ」を読んだことがある。情報科学についての知識と、文章を書くセンスの両方を持った人なんだなあという印象を受けて、興味を持っていた。何で知ったかは忘れてしまったが、著者が吉川浩満さんと共著で「心脳問題」という本を出していることを知って、読みたいと思った。脳についての本は池谷裕二さんの本などで読んで好きなジャンルなので、タイトルだけで興味を持った。すぐ見つかるかと思ったが意外と見つからず、新宿の紀伊國屋書店を探して手に入れた本。東口の方に無かったので探してもらって、タイムズスクエアの方にあるのが分かってそこまで行って買った。

心とは何か?という問題は説明が付けられそうでつけられない。改めて考えてみるとわけが分からなくなった。普段はあまり深く考えずに受け入れている。

本書では脳科学についての事だけではなく、哲学や人間を取り巻く政治や社会のことにまで言及している。心脳問題を考えるのに不可欠なのだと言う。デカルトやフーコーといった哲学の話は、ちょうど最近「闘うための哲学書」で読んでいたのでタイムリーだった。

脳をコントロールするという考え方は、これも最近読んだ「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」に出てきた社会に近い。SFが現実を予言していたのか、現実の方がSFに近づいていっているのかは分からないが、この手の話をするときはSFが具体的なイメージを与えてくれることがある。θ波の音楽とかサプリメントとかは自分も飛びつく方だが、これも脳(を含む身体)のコントロールの一つだと思う。

この本は、第四章で最終回答は存在しないことを示し、その後に続く終章は著者なりの考え方で締めくくっている。本というのは読む人にとっては結論にたどり着くためのものではなく、出発点に立つためのものだと言うことをハッキリと示そうとしていると思う。書いている人にとっては(その時の)結論であっても、読む人にとってはそこから前にだか後ろにだか進まなければいけない。

この手の本を読んだ時に大体感じることだが、物事の見方が今までとは変わったような感覚になる。多分本から離れるとまた元に戻っていくんだろうなと思う。いずれ元にもどるにしろ、物事の見方が変わった様な感覚を受ける機会は定期的に得ていきたい。

カテゴリー: 本の感想

memom

都内在住会社員。 物心ついた時から読書好き。 読んだ本を忘れない様につらつらと感想を書いていきます。

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