インテリジェンスかつエキサイティングな哲学の本。
インテリジェンスな部分は、哲学者の二人が持てる知識をフルに発揮して議論しているところ。エキサイティングな部分は、時には二人の議論がヒートアップするところ。読んでいるこっちが心配になってしまうほどだが、本の後半になるともっとやってくれと思ってしまった。
お互いに自分の考えを持っていて、それを軸に議論しているのでブレるところが無く読み応えがある。二人の知識の深さとそれを議論の中ですぐに出せる瞬発力には脱帽した。
二人の議論は実例を交えながら展開して行き、抽象的な話も具体的な例に落としてくれる。哲学というのは意外と敷居が低く、何に対しても適用できるんじゃないかという可能性を感じさせてくれた。
今まで哲学の必要性というのはあまり意識したことは無かった。本書で小川さんが語っているこの部分を読んで、哲学って必要かも知れないと思った。
いままでウォルツァーの戦争論というのは対岸の火事みたいで、アメリカのイラク戦争などを前提に読んでいたと思うんですが、いよいよ自分たちの問題として読む段階になったのかなという気がしています。そういうときにいまのような議論が役に立つのではないでしょうか。
仮想の話をして備えておくことと考えると、哲学という名前に硬くならないような気がする。
本文中でたびたび引用される哲学の古典を読むとやはり難解に感じる。この本では、その引用部分は二人が分かりやすくフォローしてくれる。
実際に議論を交わしているところを、生で見てみたいと思った。